石川己洋(恵子)さんを訪ねて

「ビヤグラス」 石川己洋作   
 

石川己洋(恵子)さんの住む益子町は、私と家内が参加した Honda s2000 のオフライン・ミーティングが開かれた栃木県茂木町のすぐ隣町です。    

前日に電話を入れたら、
「相変わらず昼夜逆転の生活をしてるけどね、せっかく来てくれたんだから町を案内してあげるよ。」と言ってくれたのです。待ち合わせの時間は11時30分となりました。(笑)

 


 
「酒器」石川己洋作

並み居る作家の中でも
異彩を放っているように
見えました        

翌日、私たち夫婦は早目に益子町に入り、目抜き通り(とはいっても300mくらいでしょうか)の両側に20軒ほど軒を並べる焼物屋さんを、一軒々々ひやかしてまわりました。
地元で活躍する作家は約400名ほどだそうですが、お店ごとに扱っている焼き物の風合いがそれぞれに異なり、一口に益子焼といっても、その量の多さや多彩さには圧倒されます。値段もピンからキリで、これはと思うものはやはりいい値段が付いていて・・・

さて、待ち合わせの時間に現れた彼女は、ラフなジーンズの上下でいつものとおり颯爽としてはいたのですが、ちょっと眠たげでした。(笑) カメラを向けると、
「寝起きだからね、写真だけはかんべんしてよ。あはは」と指名手配みたいなことをおっしゃるのです。(したがって、顔写真はありません!悪しからず)
「実はこないだ、ついに酒気帯び運転で捕まっちゃってね。おまわりさんに代行車をやってもらって・・・私くらいだよね、そんなことするの。あはは、田舎でしょッ!」って、なんというか、相変わらずお酒は強いようで、ほんと、飄々としているのです。

で、『陶芸メッセ・益子』というところを案内してもらいました。
それぞれの作者の作風から技巧にいたるまで、一点々々こと細かく説明してくれました。
ここは、市の中央の小高い丘にある陶芸美術館で、雑器だった益子焼を芸術品の域まで高めた『故 浜田庄司』の作品や屋敷が移築してあったり、陶芸館には、浜田庄司ゆかりの作家から現在益子で活躍している作家まで、数多くの作品が展示してあります。
もちろん己洋さんの作品も展示されてます。

遅めのお昼どきには、ひとしきり昔話に花が咲きます。
だれが誰を好きだったとか・・・だれはどうしてるのかとか・・・他愛もない話ですが、ね。

                


午後からは誘われるままに、彼女の自宅兼工房にお邪魔しました。写真の奥が住いで手前が工房です。町の郊外にあるゴルフ場の近くで、周りに人家は少なく気楽だとか、夜になると満天に星がきれいだとか聞きました。これが持ち家だと聞いて、借家住まいの私なんぞと違い<やるもんだなぁ・・>と感心することしきりです。

中にお邪魔して工房を見せてもらったり、作陶の話を聞いたり・・・・
そこで話をしているうちに、実はウチの奥さんと己洋さんとは英和幼稚園の一年保育の同級生だったと分かり、ビックリです。さっそくアルバムを引っ張りだしてきてお互いに確認します。(笑)
「これ、私!」
「私は・・・・これ!」
って、もう大はしゃぎです。
まったく世間は狭いものだよね。お互いに知らない人だとばかり思っていたそうですよ。今とは逆で、石川さんはおとなしく、ウチのがお転婆だったことも分かりました。(笑)




 工房の入口に2基のロクロ




 棚の上は試作品?

 

 


 大きなガス釜がありました。
焼く時の温度は1280℃!

 


 
完成したものや作りかけがいっぱい!

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。別れ際に、
「この一輪挿し、先生にお土産に持っていって。 あぁ、それから、そこら辺で欲しいのがあったら持ってってもいいよ!」
って言ってくれたんで、私たちもお土産に彼女の作品をいくつか貰ってしまいました。

わずか3時間ばかりの訪問でしたが、益子町のことも、己洋さんのことも、より深く知ることが出来て、ほんとに楽しい一日でした。

「わたし、お墓もここに作るかもね。」
どうやら彼女はこの地に本格的に根付く覚悟のようで、いよいよ制作に磨きがかかるような予感がします。

あなたも近くに行ったら声を掛けてみませんか!きっと彼女はこぼれるような笑顔で迎えてくれると思いますよ。

平成13年4月15日  横内 敏昭

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